ハイレゾの周波数!可聴域や機器との関係

ハイレゾ音源の特徴の一つが再生可能な周波数範囲の広さです。一般的な人の可聴帯域を大きく超える範囲まで再現可能なポテンシャルを持っています。

よく一般的には、ハイレゾ音源の一面に過ぎない可聴帯域の広さだけを取り上げてハイレゾ音源の意味を問う方もいらっしゃるようですが、それはハイレゾ音源の可能性の一部のお話だけです。

一般的な可聴範囲内の音をとても丁寧に描ける部分にハイレゾ音源の良さがあるのですが、そちらがあまり注目されないのが残念ですね。

ただ、今回この記事ではその部分には目をつぶり、おもにハイレゾ音源が扱うことの出来る音の帯域に注目してまとめていきます。

  • ハイレゾ音源の再生周波数範囲と人間の耳に聞こえる範囲
  • ハイレゾ音源の周波数の範囲とヘッドフォン
  • ハイレゾ音源の周波数の範囲とスピーカー
  • CDとハイレゾ音源の周波数範囲
  • moraで扱われているハイレゾ音源に関して


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ハイレゾ音源の再生周波数帯域と人間の耳の可聴域

ハイレゾの周波数!可聴域や機器との関係

PCM方式でデジタル化した音ではナイキストが発見した標本化定理により、サンプリング周波数によって厳密に再現可能な周波数の上限が決定されるようになっています。

PCMの音源データでは、サンプリング周波数の半分の周波数までしかデータとして記録することが出来ません。

つまり、96kHzのサンプリング周波数のデータならば、記録可能な最高の音の周波数は48kHzになります。それ以上の周波数範囲はキレイにカットされる形になります。

今は概ね、48kHz以上のサンプリング周波数を持つデータがハイレゾ音源と呼ばれています。このような48kHzのサンプリング周波数のデータならば、記録できる音の高さの上限は24KHzということですね。

これに対し人間の耳は年齢が若い人たちの健康な耳でも、一般的には20kHzの音が聞き取れる上限とされています。下側は20Hz程度まで聞き取れるとされています。

この周波数範囲を人間の「可聴範囲」などと呼びます。

CDに記録するデジタルデータのスペックはこの人間の可聴範囲を元に作られていて、20kHzをある程度余裕を持って記録可能な、44.1kHzのサンプリング周波数が採用されることになりました。

人間の可聴範囲だけを考えると、ハイレゾ音源には人間の耳には聞こえないはずの「超音波」も記録されている、ということになります。

ハイレゾの周波数とヘッドフォンの関係

ハイレゾの周波数!可聴域や機器との関係

ハイレゾの概念が登場する前のヘッドフォンやイヤフォンは、人間の可聴範囲に合わせる形で音作りがなされてきました。

このためほとんどのヘッドフォンの再生可能な音の範囲は20Hz~20kHz程度にまとまる形になっていました。

これに対して日本オーディオ協会のハイレゾ対応機器の基準は、高い側の音の再生範囲が40kHzまで伸びることです。これに対応するために再生の特性を調整して、高音側の再生範囲を伸ばす機器が増えてきています。

音を出す効率をあまり高める必要のないヘッドフォンやイヤフォンでは、1基のドライバーだけでも非常に広い音の範囲をカバーすることが出来ます。

ダイナミック型ドライバー1発でハイレゾ対応を行なうヘッドフォンやイヤフォンも多数存在します。

より精密な音の再現を狙って、スピーカーのようにマルチドライバー構成を取るイヤフォンなども存在しています。特にバランスド・アーマチュア型のドライバーは、1基が受け持てる再生周波数範囲が狭めのため、マルチドライバー構成を取ることが多くなります。

ハイレゾの周波数とスピーカーの関係

スピーカーでもハイレゾ対応を名乗る基準は、やはり高音側の再生範囲が40kHzをクリアできることです。このため、全てのスピーカーは高音域を担当するツイーターの音の再生範囲を高音側に大きく広げる工夫をしています。

スピーカーではイヤフォンやヘッドフォンとは異なり、電気信号を音に変換する効率がある程度高くないと、広い空間に音を届けるのに十分な音量を出すことが出来ません。

このため1基のドライバーだけで構成したスピーカー(フルレンジスピーカー)では、まずハイレゾ対応を行なうことは不可能です。

また従来のタイプの高音域担当のスピーカーユニット(ツイーター)は、人間の可聴範囲を狙った作りになっていましたので、高音側の再生範囲の上限が20kHz程度に留まります。

ハイレゾ対応のスピーカーでは従来のツイーターの音の再生範囲を超えるという意味で、スーパーツイーターを名乗るようなユニットを使うことが多くなりました。



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CDとハイレゾ音源、周波数範囲の比較

前の節でも少し触れましたが、CDは人間の可聴範囲を再現可能なサンプリングレートで仕様が決められました。収録可能な時間(74分または80分)は、カラヤンの演奏するベートーベンの交響曲第9番の演奏時間を元に設定されたとされています。

CDのサンプリング周波数は44.1kHzで、高音側は22.05kHzまでの再生範囲になります。

これに対してハイレゾ音源では、PCMの192kHzサンプリングならば、最高96kHzの周波数まで記録できます。

人間がどこまで高い音を聞けるか、というよりは「感じられるか」はまだ厳密に突き止められていない部分が残っています。

また、演奏を音楽の「資源」と考えると、できるだけ高いクオリティで録音して「保存しておく」という観点では、別の意味でハイレゾ音源の存在価値が出てきます。

デジタル音源は一度録音してしまうと、録音時のクオリティで音質が固定されます。あとからどんなに技術が発展しても、録音時以上の音を引き出すことは出来ません。

できるだけ高いクオリティで演奏を保存しておく目的からは、できる限り高いサンプリングレートでの録音が必要と言えるかもしれません。

DSD音源で使われるPDM方式ではデジタル化の基本原理が全く異なるため、再生周波数の上限に関してはPCM方式とは考え方が違ってきます。データ上100kHz以上までの記録が出来るようになっています。

moraで販売されているハイレゾ音源と周波数の関係

ハイレゾの周波数!可聴域や機器との関係

moraではPCM形式のハイレゾ音源は、48kHz、96kHz、192kHzのサンプリング周波数のデータが取り扱われています。

同じ楽曲に関して複数のフォーマットがあるのではなく、曲ごとにデータ量が違う形です。

再生可能な周波数の範囲はそれぞれ、24kHz、48kHz、96kHzになります。

量子化ビット数に関してはハイレゾ音源は基本24bitになっていますので、音の滑らかさの表現に関してはどのサンプリング周波数のデータでも、問題のないハイレゾらしい再生が可能です。

まとめ

  • ハイレゾ音源で再生可能な周波数の範囲は人間の可聴範囲を超える
  • ハイレゾ対応ヘッドフォンは従来の製品とは音作りを変える必要がある
  • ハイレゾ対応のスピーカーも同様に音作りを変えないとハイレゾ対応を名乗れない
  • CDは人間の可聴範囲を元にスペックが作られていて、ハイレゾはそれを超える音を目指す
  • moraでは48kHz~192kHzのサンプリング周波数の音源がある

ハイレゾと周波数の関係をザックリまとめるとこのような形になると思います。

恐らくキレイなサインカーブの音の波形で20kHz以上の音を単独で鳴らすと、人間の耳ではその音を聞き取るのは不可能なのだと思います。

だた、音楽などのより一般的なたくさんの周波数の音が混じり合った音では、どこまで人間の耳が音を感じ取れるのか、人間の耳がどうやって音を感じているのか解明されきっていない、という部分も残しているようではあります。

このため音の再生範囲の上限をどこでカットするのかは、まだまだこれからも議論が続くジャンルになるかもしれません。

ただ一つ今時点で間違いなく言えることは、演奏という資源を後生にできるだけ正確な形で残すためには、できるだけ高いサンプリングレートでの音源データの作成は必須になりそう、というところでしょうか。



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