ハイレゾ音源とレコードの比較。結局の所どちらが優秀?
最近、アナログレコードの人気が復活してきています。
ソニー系列のソニーミュージックグループでは、アナログレコードの自主生産に復帰するとのニュースもありました。
また、再生用のプレイヤーも新機種が登場しています。
世にある音は全てアナログ量ですから、そのまま記録・再生するアナログ機器は原理的に優れた製品のはずです。
ではアナログレコードとハイレゾ音源、実際に音の面ではどうなのでしょう?
今回はそのあたりを少し掘り下げてきます。
- アナログレコードとハイレゾ音源の音の比較
- アナログレコードのハイレゾ録音
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ハイレゾ音源とレコードの音を比較すると?
アナログレコードの復権の中で言われているこの一つは、レコードの音の良さ、です。
古いメディアとしてスルーしてきた人たちの中に、アナログレコードならではの音に気づく人が出ていているようです。
では、デジタル系の音源の中では「アナログっぽさ」がウリの一つであるハイレゾ音源と比較してみるとどうなのか、そのあたりを掘り下げてみます。
アナログ音源とハイレゾ(デジタル)音源
まず大前提となるのは、自然界に存在する音は基本的に全て「アナログ量」の信号である、ということです。
一部の電子楽器の音は元々はデジタル的に生成された音のデータですが、スピーカーから出力された段階ではアナログの信号になっています。
オーディオ機器でも一部には完全にデジタル駆動できるスピーカーとヘッドフォンが存在してはいますが、基本的に音の出力部分はアナログ信号で動いています。
アコースティック楽器、本当の自然界の音などは、完全にアナログ量の信号ですね。
原理的には
自然界にある音、楽器から出る音、オーディオ機器から出る音も、音になってしまうと全てアナログの信号です。
アナログの録音機材やアナログレコードでは、元々アナログ量である音楽のデータをそのままアナログ信号で記録して再生を行なおうとする仕組みです。
これに対しCDなどから始まるデジタル系のオーディオ機材は、元々アナログの信号である音のデータをデジタルデータ化して「近似」する形で記録します。
そもそもデジタルデータでは、原理的にアナログ信号を誤差のない完全な形で記録することが出来ません。
離散的とも表現できるデジタルデータ化する際に必ず誤差が紛れ込みます。
そのデジタル化の際の誤差をより小さく出来るのがハイレゾ音源ですが、それでも誤差をゼロにすることは不可能です。
つまり、原理的にはアナログ記録を行える機材、レコードなどのアナログメディア、アナログ再生機材の方が優れていることになります。
実際には…
ですが現実問題としては、ほとんどのケースでデジタル系のオーディオ機材の方が良い音の再現がしやすくなっています。
これはアナログ信号のまま音を高品質で記録・再生することが非常に難しいからです。
一般的なアナログレコードで考えると、ダイナミックレンジの観点ではあまりに大きな音は記録できない仕組みになってしまっています。
大きすぎる音を記録するとレコードの原理的には、1つの溝が隣の溝の所にまではみ出してしまうことになります。
また、機械的に溝を針がこする形で音をピックアップするプレイヤーがほとんどですので、この際にノイズを拾ってしまいノイズレベルがどうしてもゼロになりません。
加えてレコードの表面に乗ったホコリでもかなり大きなノイズが出ます。
アナログレコードでのS/N比、ダイナミックレンジは広くても80db程度に留まるのが一般的です。
加えてアナログ系の機材の共通の悩みとして、大きな音になると「歪み」が必ず生じてしまう部分があります。
デジタル音源では少なくとも記録した音源データ、デジタルデータを扱う部分では、基本的に歪みからはほぼフリーになりますので、トータルでもデジタル音源の方が歪み感の少ない再生になります。
針が溝をなぞる際の追従性の関係から、アタックの速い音の立ち上がりには追従しきれない部分も出てくるでしょう。
こういった部分が擬似的に耳触りの良い音に結びついている可能性もあるかもしれません。
ただ、普通に聞えている範囲の音の滑らかさの観点では、アナログレコードは確かに原理的にも優れているはずです。
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ハイレゾフォーマットでレコードを録音してみると
アナログレコードの音をハイレゾ対応のPCMレコーダーなどに入力すれば、比較的簡単にハイレゾ録音ができます。
また、最近はレコードプレイヤーにA/Dコンバーターを搭載して、直接ハイレゾのデジタルデータを出力できる製品も登場しています。
これらを使うことで、比較的簡単にアナログレコードをハイレゾ音源データとしてデジタル保存することが可能になります。
CDのように直接劣化無しに音楽のデータを読み出す訳ではありませんので、CDの「リッピング」とは異なりますが、アナログレコードもデジタル化して記録出来る、ということですね。
アナログレコードは基本的には針との接触により再生を重ねるほどわずかずつ劣化するメディアですから、デジタル化して保存しておくことにもしっかりと意味があります。
A/D変換の際に若干の劣化は出ますので完全な保存にはなりませんが、一度デジタル化してしまえば、その後の劣化はなくなります。
まとめ
- 原理的には優れるアナログ記録のレコード
- 実際には完全な形で記録・再生を行えるアナログメディアは存在しない
- ダイナミックレンジ、S/N比、歪みなどの点で、再生の特性自体はデジタル方式が勝る
- 新しい機材の登場で、アナログレコードのハイレゾ記録も簡単に
アナログレコードとハイレゾ音源・デジタル音源の相違点などをまとめてみると以上のようになります。
アナログ信号の音楽をアナログのまま記録する方法は原理的には非常に理想的ではあるのですが、現実問題としてはさまざまな限界によりデジタル系を超える記録・再生を行なうのは難しくなっています。
かつての優秀な録音のアナログマスターテープなどはハイレゾ化する意味が十分あるレベルの音質を備えています。
ですがそのレベルの音質は通常のアナログレコードには下りてきていません。
それでもアナログレコードなりの良さがあるのも事実ですから、古くて新しいメディアとして楽しむのも十分にアリです。
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