ハイレゾ音源の聞き分けテスト!意外と聞き分けは難しい?
オーディオ系のWeb情報サイトや紙の情報誌などでも、音源の種類の違いによる音の聞き分けをわざわざ記事化するようなところはあまりありません。
そして音源の評価を行なう際にも聞き比べではなく、どちらかというとその音源自体の絶対評価に近い書き方をされることが多いように思います。
聞き分けを行なう際にも、科学的に厳密な手法である「ダブルブラインドテスト」などが行なわれた記事を、少なくとも著者は見たことがありません。
基本的にオーディオジャンルでは、ハードウェア製品の評価も同様の手法で行なわれることがほとんどですから、その流れがそのまま音源自体の評価にも適用されているのかもしれません。
このジャンルの評価は人間の感性という非常に属人性の高いファクターが支配するものですから、逆に科学的な評価はフィットしないのかもしれませんね。
今回はハイレゾ音源やその他の音源との間の聞き分けに関する話題を、以下の観点からまとめてみます。
- ハイレゾ音源とMP3音源の聞き分け
- ハイレゾ音源とCDの聞き分け
- ハイレゾ音源同士の聞き分け
- レビューなどではあまり行なわれないブラインドテスト
- 普段聞き慣れた音源によって変わる評価?
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ハイレゾ音源とMP3音源の聞き分け
ハイレゾ音源との聞き分けを行なう場合には、今時点では一番聞き分けが易しいかもしれないのがこちらですね。圧縮音源の中でも古い方式であるMP3との聞き分けです。
MP3などのロスありの圧縮音源では、音楽再生時に聞き取りやすいとおもわれる大きな音以外の情報量を削る方向で圧縮が行なわれます。
これは人間の聴覚がメインとなる大きな音量の音以外の音は、比較的大きな音にマスクされてしまいやすく聞き分けが難しくなる特性を利用している、とされています。
このため音楽のメインとなる要素に注目すれば、MP3のほうがむしろ音の通りが良く聞こえるようになっているかもしれません。
「ハイレゾ音源らしさ」を耳で経験していない場合には苦戦するかもしれませんが、少しハイレゾ音源の音に触れている人であれば区別はすぐに出来ると思います。また、ハイレゾを聞き慣れていない人でも、しっかりした機材による再生ならば双方の違いには気づくはずです。
ただ、どちらを「良い音」と感じるかは人によるかもしれません。
ハイレゾ音源とCDの聞き分け
プレスして販売されているCDとハイレゾ音源とでは、同じ楽曲でも曲作りの「マスタリング」が異なることが良くあります。このため音源の種別の違いによる音の差異よりも、マスタリングの違いによる音の違いが大きく出ることがあります。
ですので、純粋な音源のフォーマットの違いを感じるのは実は難しい聞き分けと言えるかもしれません。
もしもハイレゾ音源フォーマットの音と、CDクオリティの音源自体の違いの聞き分けを行ないたいのならば、「2L」(http://www.2l.no/hires/)などの無料試聴用音源をさまざまなフォーマットで提供してくれるサイトのデータを利用する方が良いかもしれません。
この2つの音源ならば、一般にハイレゾ音源の方が多くの場合柔らかく滑らかな音の表現になりやすくなります。
アタックの速い音などでは、CD音源の方がむしろシャキッとした感じは強調される形になる可能性もあります。
以前に『ハイレゾ音源の無料サンプルダウンロード先一覧』の記事内でハイレゾ音源を無料でダウンロードできる所まとめて紹介しています。
ハイレゾ音源同士の聞き分け
こちらも2LなどでPCM形式でサンプリング周波数が異なる音源やDSD音源など、フォーマットの異なるデータを提供してくれています。
他の一般的に販売が行なわれているハイレゾ音源では、ごく一部の音源がPCM形式のハイレゾとDSD形式の併売が行なわれる程度で、同じ音源を複数のフォーマットで販売しているケース自体が少なく、実際に聞き分けを試すことが難しいかもしれません。
また、たとえば24bit/96kHzのPCM形式と24bit/192kHzのPCM形式だと、聞き比べても違いを聞き分けるのは非常に難しいと思います。可聴帯域の中の音は通常であればほぼ同じになるはずですから。
DSD形式とPCM形式はかなり音の傾向が違うとされていますので、こちらも両方の音源を聞き慣れていれば、ある程度聞き分けが出来ると思います。
ただこのケースでも初めてDSD音源を聴く、なんてパターンですと違いは感じてもそれがどちらの音源なのかを聞き分けるのは難しいかもしれません。
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レビューなどではあまり行なわれないブラインドテスト
Web情報サイトなどの記事では、ブラインドテストによる聞き分けが行なわれることはあまりないようです。著者は、そういった記事はPhilewebさんが実施されたテストの記事を一度見ただけですね。
実際には音源自体の評価でも機材の評価でも、レビュアーの主観的な絶対評価に近い記事が多いように思います。
最終的には人の感性が結果を出すジャンルですから、扱いや評価の難しいジャンルであることは分かります。
Philewebさんが行なわれたテストでもやはり、耳がハイレゾ音源になれているかどうかで大きく結果は異なるようでした。耳が慣れていない人だと音に違いがあることは分かっても、どれがハイレゾ音源でどれが圧縮音源なのか、どれがいい音なのか、そのあたりのマッチングに苦労するようです。
普段聞き慣れた音源によって変わる評価?
どんな音がいい音なのかそこの判断に迷うのは、普段それぞれのユーザーがどの音源を聞き慣れているか、そのあたりとも関係が深いと思います。
ロスあり圧縮やCD音源などの、ある意味分かりやすい音作りになっている音を聞き慣れていると、ハイレゾ音源の音には逆に違和感を感じることもあるかもしれません。
いい音の基準を原音に取れば原音に近いのは間違いなくハイレゾ音源の方ですが、実際に自分の耳で聞いてみていい音と感じる音は、この基準どおりになる訳ではないですから。
この辺りの音の感じ方に関しては、著者は一度生の演奏の音に触れてもらうのが基準を作る上では一番かなと感じています。キレイに音作りをされたCDや販売されているハイレゾ音源などとは、まるで違う音が聞こえる、というよりも感じられるはずです。
ハイレゾ音源云々からは少し外れるかもしれませんが、生音の経験からいい音の基準を作っていくと、音楽の聞こえ方がまた一つ変わってくるのではないかと思います。
まとめ
- フォーマットによる違いが聞き取りやすいのは対MP3
- CDとの比較だと問題になるのはむしろマスタリングの違い
- ハイレゾ音源同士の比較はかなり難易度高し
- 科学的な評価は適用しにくいジャンル?
- 普段耳が慣れている音が判断に影響しそう
ハイレゾ音源とその他の音源との聞き分けについてまとめてみると、以上のような形になると思います。
ロスありの圧縮音源に関しては、ビットレートが低くなると恐らく誰にでも比較的簡単に違うことは感じられると思います。
一言でまとめると、音のシャッキリ感というか鮮度感というか、あるいはヌケの良さが失われがちな音になる傾向があります。
CDの場合には、マスタリングの違いの方が大きく影響します。ハイレゾ音源版のアルバムとはまるで別の作品のような音作りになっているケースがたくさんあります。
どのケースでも一番この問題を難しくしているのは、評価の基準が聞き比べを行なう人の感性に依存している、と言う部分かもしれません。
万人に共通する正解はないジャンルなのかもしれませんね。
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