Bluetoothでハイレゾに2つ目の方法。aptX HD登場
Bluetoothは音楽を聴く際には、プレイヤーとイヤフォン/ヘッドフォンを結ぶケーブルをなくせるという点でとても便利な機能です。ただ、音質面では残念ながらある程度の我慢が必要でした。
特にハイレゾ音源に関しては、Bluetoothで使われている音声の圧縮方式ではハイレゾ音源の情報量を伝えきることが出来ません。従来のBluetoothの音声伝送方式の中では高音質とされていたaptXであっても、ハイレゾ音源には対応していません。
そんな中、ソニーが先手を打つ形で独自形式のハイレゾ音源対応の音声伝送方式「LDAC」を実用化しています。ただ、LDACは今のところソニーだけが製品に実装している形で、なかなか広がる気配がありません。
これに対抗する形でaptXを作ったクアルコムが、ハイレゾにも十分対応可能な音声の伝達方式「aptX HD」を発表しました。
ちなみにaptXはapt-Xと記載されることも多いですが、ハイフンなしのaptXの表記が正式なもののようです。
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従来のaptXは量子化ビット数16bitまでの対応
従来のaptXは、比較的利用するビットレートが高く、bluetoothの音声圧縮方式の中ではかなり音質も良い方式でした。加えて音の遅延が少なく、Bluetooth経由で音楽を聴いても違和感などの少ない優れた方式でした。
ただ、aptXではデジタル音源の量子化ビット数が16bitまでの対応で、24bitやそれ以上のハイレゾ音源の情報を伝えるには力不足でした。
aptX HDは24bit/48kHzまで対応
これを拡張する形で登場したaptX HDは、現在のところ24bit/48kHzまでのサンプリングレートに対応します。
圧縮後のデータの帯域に関してはまだクアルコムから情報が出ていないようですが、実際にaptX HDを使ってハイレゾ音源を再生したところ、従来のaptXよりも明らかに聞こえてくる音楽の質が向上しているようです。
ソニーのLDACでは音質/ビットレートを3段階から選べるようになっています。その代わりビットレートを上げると、Bluetoothの通信状況が完全でないと音楽が途切れる瞬間が出やすくなるようです。
これに対してaptX HDではあえてビットレートの方は固定として、十分な音質を確保しつつ、極力音楽が途切れることがないようなビットレートを選んでいるとされています。
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先行したLDAC、標準化で強みのありそうなaptX HD
ハイレゾ対応のBluetooth用音声伝達方式の二つですが、実際の製品への搭載ではソニーのLDACが先行しました。ただ、ソニー製品以外にはまだ採用例がなく、思いの外広がりを見せていません。
これに対して発表では後れを取ったものの、スマートフォンなどのチップには圧倒的な強みを持つクアルコムが提唱するaptX HDという立ち位置があります。
aptX HDを搭載する機器はまだ一つも世に出ていないと思いますが、LDACとaptX HD、ハイレゾ対応のBluetooth製品でどちらが主流となるのか、まだしばらく様子を見なければならないようです。
もしaptX HDが主流となった場合に問題となるのは、既にリリースされているLDAC搭載のソニー製品です。どちらの方式が主流となるにせよ、利用するユーザーの不便を招く事態だけは回避してほしいものです。
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