ハイレゾ対応アンプの必要性は?
一口にハイレゾ対応アンプ、と言っても色々な種類のものがあります。
単純に「ハイレゾ対応」の要件を満たすだけであれば、十分な音質を確保して対応周波数範囲の高い側が40kHzをクリアしていれば大丈夫。
ですが一般的にはアンプでハイレゾ対応を名乗る場合には、それ以上の機能を持っているのがより一般的です。
例えばデジタル回路部分を持っていて、HDMIや光ケーブルからの入力でハイレゾ音源のデジタル入力が可能といった製品があります。
また、パソコンやスマートフォンとの連動を重視して、「USB DAC」機能を持つ機種もたくさんあります。
サイズ面でも据え置き型のものや、スマートフォンなどと一緒に持ち運べる「ポータブルアンプ」タイプもあります。
今回はいくつかの観点から、ハイレゾ対応アンプの考え方などをまとめてみます。
主に取り上げる観点は以下のものです。
- ハイレゾ対応アンプ、様々な違いについて
- ハイレゾ対応アンプ、PCとの相性の良いものは?
- ハイレゾ対応アンプでポータブルタイプの製品にはどんなものが?
- ハイレゾ対応アンプの自作は可能?
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ハイレゾ対応と言われるアンプの要素いろいろ
現在、日本のオーディオ関連製品で「ハイレゾ対応」を名乗るための定義がしっかりと固められています。
一言でまとめてしまうと、「CDの音質を超えられるもの」ということになります。
音源データであれば、量子化ビット数が24bit以上。
サンプリング周波数がCDを超えるもの、といったあたりです。
デジタル回路を持つオーディオコンポーネントもこちらの縛りを受けるかたちになります。
前提条件として、24bit/96kHzなどの音源データをダウンコンバートせずに再生できることが必要になります。
それに加えて、アナログ系のアンプやスピーカー、イヤフォンなどでは、高域側の再生の特性が40kHzをカバーできることが基本になっています。
この考え方でいくと、音が良く周波数特性が40kHzを超えて伸びるような純粋なアンプはハイレゾ対応ロゴを使えるはずです。
ですが、一般的にはそれだけでアンプがハイレゾ対応を名乗ることはないようです。
ほとんどのハイレゾ対応アンプはデジタル部を持ち、ハイレゾ音源の入力と本来の音質での再生が可能になっています。
大まかにはこんなジャンルのハイレゾ対応アンプがあると思います。
- ハイレゾ音源の再生が可能なAVアンプ
- USB DAC機能付きのプリメインアンプ
- ハイレゾ対応のネットワークレシーバー
- USB DAC機能付きのポータブルアンプ
光デジタルやHDMIケーブル経由でハイレゾのデータの入力と再生が可能
パソコン、スマートフォンなどとの連動を考えて、入力端子の一つとしてUSBコネクタを持つアンプ
DLNAを使ってネットワーク経由で音楽データの再生が可能なネットワークプレイヤーに、ハイレゾ対応のアンプを内蔵したような機種
スマートフォンや携帯音楽プレイヤーと併用するためのポータブルアンプでハイレゾ対応を果たした製品
ハイレゾ対応のアンプでPCと一緒に使うのに適したものは?
今はハイレゾ音源の販売がほぼネットーワーク経由で行われる事情があります。
このためパソコンで曲の購入、楽曲の管理、再生を行うのが何かと便利です。
広い画面と豊富な表示可能情報量を使って、色々な面で楽が出来ます。
パソコンと連携性が高いハイレゾ対応アンプは、USB DAC内蔵の製品になります。
今のパソコンの外部向けの汎用インタフェースは、基本すべてUSBコネクタに集約されています。
USBコネクタを持たないパソコンはまず存在しませんので、USB DAC内蔵アンプならば基本的にどのパソコンからも利用可能になるはずです。
パソコン自体は元々再生音質が悪いデバイスですが、音源回路自体を外付けに出来るUSB DAC内蔵アンプならば、大幅に再生音質を引き上げることも出来ます。
デスクトップパソコンならば、音声のデジタル出力に光ファイバーが使える機種もあると思います。
ですがノートパソコンでそういった端子を持つ機種は少ないので、光デジタル出力を使うよりもUSB接続を利用する方が汎用性は高くなります。
音楽への対応が遅れているWindowsパソコンでも、一般的な機種ならば24bit/96kHz対応まではOS標準で対応してくれるところも便利です。
Windows 10の次期大規模アップデート適用後は、より高いサンプリングレートのハイレゾ音源にもOS標準で対応可能となる予定です。
MacOS Xのほうは元々高いサンプリングレートにまで対応可能となっています。
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ハイレゾ対応のポータブルアンプ
スマートフォンや携帯音楽プレイヤーと一緒に利用するのならば、ポータブルアンプを選択するかたちになるでしょう。
スマートフォン本体のみ、ポータブルプレイヤー本体だけでも高い音質を実現する機種が増えてはいます。
ですが、使いたいイヤフォンやヘッドフォンの種類によっては、大きなパワーを必要とする機種もあります。
そういった機器を使いたいときには、スマホやポータブルプレイヤーではパワー不足になることが多くなります。
また、純粋に音質面で、多くのポータブルアンプは単体のプレイヤーを上回るケースが増えます。
外出先でどこまで音にこだわるのか、持ち運ぶ荷物を増やすだけの価値があるのか、そのあたりに議論はあると思います。
ですが、こういった部分をクリアするならば、ポータブルアンプを選択する価値はあるでしょう。
ちょっと前置き的なお話が長くなりました。
スマートフォンなどと連携させるのが前提であれば、ポータブルアンプもUSB DAC機能を持った機種の方が良いでしょう。
スマートフォンの中身はパソコンと全く同じようなものです。
加えてスマートフォンは強力な電波を発信するデバイスでもあります。
オーディオ的には非常に厳しい内部の環境で、音質面で徹底的にこだわるのはとても難しいデバイスです。
ですのでパソコン同様、音源回路を表に出してしまった方が、色々な問題を単純化できます。
簡単に音質の向上が図れる、ということになります。
スマートフォンまたは携帯音楽プレイヤーとポータブルアンプの2台持ちが許容できて、外出先でもいい音で音楽が聴きたい場合には、ポータブルアンプの追加は非常に効果的な解になってくれます。
ハイレゾ対応アンプって自作は可能?
音の再生範囲だけで考える「ハイレゾ対応」を果たすアンプであれば、自作の難易度は少し下がるかもしれません。
良質な自作キットなどでも対応が出来る製品がありそうです。
USB DAC機能を備えたアンプになると、完全自作のハードルは結構高くなります。
単純に考えても、アナログ系とデジタル系、両方の設計のノウハウが必要になりますから。
自作キットにもUSB DAC機能搭載のハイレゾ対応アンプもあると思います。
ただキットでは多くの場合、DACの心臓部は組み立て済みの製品が多いようです。
アンプでも他のコンポーネントでも一緒なのですが、本当の意味での厳密な音のチューニングは、一般人のレベルではかなり大変です。
ですので自作で純粋な音質の追求、というのはかなり難しく、かつ大変です。
まずは「自作」に何を求めるかを、始める前に考えておいた方が良いかもしれません。
まとめ
- 「ハイレゾ対応」の意味をどう考えるかで対応アンプのタイプが変わる
- パソコンと一緒に使いたいならUSB DAC内蔵アンプが楽
- スマートフォンと連動させたいなら、USB DAC内蔵のポータブルアンプ
- ポタアンを使う前に、外出先でそこまでの音質が必要かは考えたほうが良い
- アンプの自作は「何を楽しむのか」で難易度がガラッと変わる
単に「ハイレゾ対応アンプ」と言っても色々な製品があります。
この言葉の捉え方次第で必要な製品が色々と変わりますので、ユーザーそれぞれ、何を求めているのかを一度しっかり考えておくとより幸せな製品選びが出来るでしょう。
どういう形でハイレゾ音源を聴くのか、どれぐらいの音質が欲しいのか、もちろん予算はどうするか、等々、考えないといけないポイントは結構あります。
まずは、どういうシーンでどのようにハイレゾ音源と向き合うか、そういった基本的なところから始めるのが一番確実なのかもしれません。
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