ハイレゾの曲はなぜ少ない?理由を検討してみた!
ハイレゾ音源のダウンロード販売サイトでは、大手2社に関しては恐らく扱うハイレゾの曲数が10万曲を超え、新譜に関してはかなりの割合がCDクオリティや圧縮音源でのリリースと同時発売になるケースが増えています。
この記事ではそんなハイレゾ音源の状況をまとめていきます。
このようにして曲数がかなり順調に増加していっているハイレゾ音源ではありますが、音楽のストリーミング配信サービスで扱われる曲数の100万曲オーダーや中には1000万曲オーダーという世界とは、楽曲数に関してはまさに桁が違う、という状況はなかなか改善しません。
この辺りの理由に関しても考察を行なってみます。
- ハイレゾ化された曲数が少ない理由
- ハイレゾ音源の購入方法
- ハイレゾ音源の価格帯
- ハイレゾの無料試聴用データ
- ハイレゾ音源データのサイズ
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ハイレゾ化されている曲が少ない理由
まず最初にハイレゾ化されている曲が少ない理由を考えてみます。
大まかに全体の傾向を見ると、新しい楽曲はハイレゾ化される率がかなり高いのに対して、古い楽曲はなかなかハイレゾでの再配信が行なわれません。この部分が全体としてハイレゾ化された音源の割合がなかなか高まらない最大の理由でしょう。
その理由のとして考えられるものの第一は、マスター音源のクオリティです。
古い楽曲のマスター音源がアナログ時代のものならば、質の高い十分に音質の良いマスターテープが残っている場合にはハイレゾ化でより高い音質を引き出すことが出来ます。
ですが、そうではない品質の低いマスター音源だった場合には、敢えてハイレゾ音源化するメリットが薄くなります。
また、音源がデジタル化されていてもCDクオリティのサンプリングレートでデジタル化されたものだと、ハイレゾ化する意味がもっと小さくなります。
新しい音源でもハイレゾ化されないものは、さまざまな契約の関係や、そもそも音楽を作る側がハイレゾ音源に対応可能な設備・機材を所持していない可能性もあるかもしれません。
きちんとしたマスタリングで高い音質を備えたハイレゾのポテンシャルを引き出せる音作りをするには、機材の面でも作業の負担の面でも従来より高いコストが必要になります。
「音圧競争」的な流れもあったCDのマスタリングとは全く別のノウハウが必要で、その部分の欠落も理由の一部にあるかもしれません。
しかし最も根本的で身も蓋もない、かもしれない理由は、CDも含め買い切り型の音源が売れにくくなっていること、が最大の理由かもしれません。
音楽は「無料コンテンツ」という認識の層がある程度出来たこと、お金を払う場合でもストリーミング配信サービスレベルで十分と考える層が増えたこと、このような部分がもしかしたら最大の要因かもしれません。
楽曲を買い切る層自体が今は「こだわり」のユーザーで、そういったユーザーにうける楽曲に絞り込む形の展開を行なっているのが、今のハイレゾ音源の展開状況なのかもしれません。
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ハイレゾ楽曲の現状
楽曲全体から見るとまだまだ少数派のハイレゾ音源ですが、新しい楽曲に関してみていくとハイレゾ化される割合はグンと増えます。
こだわりのユーザーに向けたハイレゾ音源の各種状況をまとめてみましょう。
ハイレゾ音源データ化された曲の購入方法は?
日本国内ではハイレゾ音源のダウンロード販売を行なうサイトが今は4つになっているはずです。
e-onkyo、mora、OTOTOYと、比較的最近参入したYAMAHAのmysoundです。
VICTOR、クリプトンが配信サービスを相次いで終了させています。
ストリーミング型では、インターネットプロバイダの老舗IIJがPrime Seatのサービスを開始しています。
e-onkyo、mora、OTOTOYはWebサイトからのダウンロード販売型です。曲単位に対価を払って購入する形で、CDなどの現物での販売や電子書籍の販売に近いイメージです。
YAMAHAのmysoundは専用アプリ経由で曲を購入する形で、課金は曲単位です。月課金のコースもありますが聴き放題になる訳ではなく、毎月コースごとに一定額の曲購入用のポイントが付与されるタイプです。
Prime Seatは音楽配信の番組単位に課金される形で、ストリーミングビデオサービスの「ペイパービュー」方式と同様のイメージと考えて良いでしょう。
ハイレゾの曲の価格はどんな感じ?
moraやe-onkyoでは、ハイレゾの楽曲にはロスあり圧縮のCDクオリティ音源よりもある程度高めのお値段がついています。
JPOPなどの一般的な楽曲では、1曲432円とか540円程度です。moraではAACの音源は257円というケースが多いので、倍近いお値段にはなっています。
アルバムをまとめ買いする場合には1曲ずつ購入するよりもかなり割安な価格になり、だいたい1アルバムで3,000円+消費税前後のお値段になります。CDの実物を購入するのと同レベルと考えて良いと思います。
ハイレゾの曲を無料で試せるデータってある?
各音楽のダウンロード販売サイトとも、サンプルの試聴用データを用意しています。ですが比較的楽曲数は控えめで、楽曲数と音源フォーマットのバリエーションという観点では、海外の「2L」に勝るサイトは今のところ存在しないようです。
ちなみにmoraのサンプルデータのページはこちら。
e-onkyoはこちらです。
http://www.e-onkyo.com/music/album/sample02/
『ハイレゾ音源の無料サンプルダウンロード先一覧』(http://high-resolution.biz/delivery/sample-download-list/)の記事で、ハイレゾ音源のサンプルを無償でダウンロードできるサイトをまとめています。
ハイレゾの曲のデータ容量はどれぐらい?
ハイレゾ音源の弱点の一つはそのデータ量の大きさです。
TVアニメの響け!ユーフォニアム2のサントラに収録された、OP主題歌サウンドスケープのブラスバンド演奏バージョンは、24bit/96kHzのサンプリングレートのFLAC形式、5分24秒の演奏時間で、179MBの容量があります。
このサウンドトラックは総演奏時間が2時間を超える大作と言うこともありますが、1アルバムで5GBを超える容量があります。1層のDVD 1枚ではあふれるほどの大きさです。
このため購入とダウンロードは、光回線などデータ容量と回線速度に制限のない回線経由で行なった方が良いでしょう。
携帯回線の通常のパケットプランだと、あっという間にその月の分のパケットを食い潰してしまいます。
まとめ
- ハイレゾ音源化される楽曲が少ない理由は複数原因あり?
- ハイレゾ音源配信サイトの淘汰は進んでいる。新サービスも登場
- ハイレゾ音源の販売価格は圧縮音源よりも高価。アルバム単位での購入にお得感
- 無償のお試し音源はやっぱり2Lが頼りになる
- ハイレゾ音源のデータのサイズはかなり巨大。DLの際には回線に注意
今のハイレゾ音源を巡る事情の一部をまとめてみるとこんな感じでしょうか。
ハイレゾ音源の楽曲数自体はこれからもどんどん伸びていきますし、全体の楽曲数に対するハイレゾ音源の割合も少しずつ改善していくはずですが、「楽曲数の差」が詰まっていくことはないでしょう。
音楽というコンテンツに関するユーザーの考え方の変化、音楽を聴く形態の変化が楽曲の販売形態、売れ行き等に大きく影響を与えていると思われます。
音源を買い切ること自体がだんだんとこだわりユーザーのものだけになっていくような雰囲気がある中、よりこだわりの高い人への訴求が出来る音源がハイレゾ音源と言うことになるかもしれません。
ネットとのつきあい方がスマホの登場によって、カジュアル層とよりこだわる層などとの間でこだわり方のレベルの差異が大きくなったように、音楽とのつきあい方の幅もより大きく広がってきているのかもしれませんね。
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