ハイレゾ音源の音質、他の音源との違いとは?
今回取り上げるテーマはハイレゾ音源が世に出たときからずっと言われ続けている内容だと思います。
違いを感じる人は確実にハイレゾ音源がいいと言うでしょうし、分からない人はそんなのはプラシーボ効果みたいなものだ、という表現をされたりもします。
ハイレゾ音源の特徴の一部にすぎない再生帯域の広さだけを切り取って、耳に聞こえない音が入っていても意味がない、という誤解も未だに一部残っているようです。
今回ハイレゾ音源とその他音源と音の違いに関して下のリストのような順番で、少し違った切り口で考えてみます。
- ハイレゾ音源と他の音源との音質面の違いは?
- ハイレゾ音源って音質が悪い、という検索をすると..
- ハイレゾ音源を再生してみても音質が変わらない?
- ハイレゾ音源の音質の評価
- ハイレゾ音源とCDの音質の違い
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ハイレゾ音源の音質、他の音源との違いは?
数値的なデータの面から見るとハイレゾ音源とCDクオリティの音源の差は、アナログ量の元の音に対する「近似精度の違い」ということに集約されると思います。
CDのフォーマットだと、音の強弱のレベルを65,536段階、16bit精度で近似しています。
これに対し今一般的なPCM形式のハイレゾ音源である24bitの量子化ビット数ならば、約1,680万段階の精度で音の強弱を近似できます。
256倍の精度がある、と言うことになります。
また、サンプリング周波数が96kHzのハイレゾ音源データならば、CDクオリティの音源の2倍以上の細かさで時間軸方向の音の変化も捉えることが出来るようになっています。
コンピュータで何らかの数値計算を行なう場合にはよほど何か大きな制約でもない限り、16bit精度の数字で計算を行なうことは誤差が大きすぎてあまり使われません。
ですが実際にはCDの音でも十分に高い音質と言える音の再現が出来ていますので、音の再現に関しては、数値的な精度はそこそこのレベルがあると必要十分なクオリティが出せるジャンルなのかもしれません。
例えば12bit/32kHzサンプリングのデジタル音源とCDクオリティの16bit/44.1kHzサンプリングの音の間には恐らくほとんどの人が違いに気づくレベルの音質の差があります。
ですが、16bit/44.1kHzと24bit/96kHzの音の差に関しては違いに気づく人の割合は減るでしょうし、体感上の音質の違いも前者よりも小さくなっていると思います。
ただそれでもCDクオリティとハイレゾ音源の音の間にはしっかりと差は存在していて、原音を基準として考えるならば、オリジナルにより近いのはやはりハイレゾ音源です。
High Resolutionの言葉から、音の解像度といったイメージでハイレゾ音源の音を解説するページなどもあります。
この考え方を使う場合には、スマートフォンの画面の解像度で考えるのがイメージしやすいかもしれません。
スマートフォンの画面サイズならば、表示できる文字数だけで考えると解像度は800 x 480ドットでも多分十分です。
ですが、解像度が1,280 x 720ドット、1,920 x 1,080ドットと向上していくにしたがって、表示される文字の縁が滑らかになって活字に近い美しい表示に変わっていきます。
同じ解像度で考える場合でも、ハイレゾ音源の音もこちらのイメージがより近い表現と言えるでしょう。
ハイレゾ音源の音質が悪い??
「ハイレゾ 音質 悪い」でネットの検索を行なった際に上位に表示されるサイトの一つには、ハイレゾの音そののものが悪いではなく、ハイレゾに関するメーカーのプロモーション方針が良くない、というオーディオマニアの方のページがありました。
一言でまとめてしまうなら、ハイレゾ対応の5万円のミニコンポと総計100万円かけたハイレゾ非対応のシステムコンポーネントオーディオの音を比べてどっちがいいと思う?というお話ですね。
当然のことながら、100万円かけたシステムの方が音は良いに決まっています。
ですが、メーカーが行なうプロモーションでは「ハイレゾ」と名前がつけば無条件に音が良い、といった宣伝を行なっていることに対する不満、というよりも危惧を表明されていました。
まさしくこれはごもっとも、ということになります。
ただ、それが当てはまるのはマニアと呼ばれるレベルのユーザーの方々で、恐らく世の8割以上の音楽を聴くユーザーにとって「ハイレゾ対応機材なら音が良くなる」は、かなりの確率で当てはまる事柄なのではないかと著者は考えます。
かなりの割合のユーザーにとって、好きな音楽を聴くためとはいえ、イヤフォン単体に1万円を出すのは結構な冒険ではないでしょうか?
ハイレゾに関してメーカーの取るプロモーションの方針は、今まであまりオーディオ製品自体に気を遣っていなかったユーザーに向けての呼びかけなのではないかと思います。
検索上位の他サイトには、ハイレゾ音源自体が良いのではなく機材の出せる音が良いのだ、というものもありました。
ハイレゾ音源をキッチリ再生しようとしっかりした機材を揃えれば、従来のCDクオリティの音源や圧縮音源も、より高音質で再生できるようになります。
だから、音を良くしているのはハイレゾ音源のデータではなく機材の方だ、という趣旨のサイトでした。
これもごもっともだと思います。
ただCDクオリティの音源をしっかり再生できるシステムならば、ハイレゾ音源再生ではそこからさらにプラスαが期待できるポテンシャルがある、ということになります。
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ハイレゾ音源を再生してみても音質が変わらない
ネットでの検索ではハイレゾ音源を買って再生してみたけど、音の違いが分からない、というケースもかなりの数見つかります。
こういったケースでチェックしておくと良い部分をリストアップしてみます。
再生環境がハイレゾ対応しているかどうかの確認の必要性
この部分が一番の注意すべき点です。
再生を行なった機材がきちんとハイレゾ音源本来の音質を出せる構成になっているかどうか、です。
具体的には音のデコードを行なう経路になるDACがきちんとハイレゾ対応を果たしているかどうか。
たとえばiPhone本体のみでの再生では、ハイレゾ音源はCDクオリティ(より正確にはDATクオリティ)にダウンコンバートされた上で再生されます。
また、PCを使う場合にはサウンド回路の設定によっては、ハードウェアはハイレゾ対応を行なっていても、再生はダウンコンバート再生になっている場合があります。
これら、機材と設定を確認をしておきましょう。
再生機器のクオリティの見直しの必要性
再生に用いるDAC、アンプ、スピーカーやヘッドフォンがそれなりの音質を持つ機材かどうかの確認も必要になります。
DACに関しては24bit/96kHz等のサンプリングレートへの対応が必須です。
アンプ、スピーカー、ヘッドフォンは、音の再生帯域に必要以上にこだわる必要はありませんが、普通に耳に聞こえる範囲の音がしっかりしたクオリティで再生可能な機材を準備する方が良いでしょう。
ただ、しっかりした機材を揃えても違いを感じない方もいらっしゃると思います。
普段聞き慣れていて、それぞれがいい音と感じる音源への慣れなどが影響しているかもしれません。
CDや圧縮音源の方が「分かりやすい音」になっている可能性がありますから。
以前に紹介した
『ハイレゾ対応機器の選び方!イヤホン、アンプなど』
という記事で、当サイトが掲載した機材の紹介情報をまとめています。気になる方は参考にしてみて下さい。
ハイレゾ音源の音質の評価
ハイレゾ音源の音質面の評価に関しては、以前と同じようにキレイに2分されている感じがありますね。
違いを感じる人は「確実によい」という意見が多く、そうではない人たちは「CDと何も違わない」という言い方になります。
色々な環境なども影響すると思いますが、音楽に対する考え方が関係しているケースもあるかもしれません。
気に入った楽曲はより良い音で聞きたいユーザー、音質云々ではなく音楽が聴きたいのだ、というユーザー、それぞれのユーザーの考え方が試聴結果にある程度の影響を与えそうでもあります。
実際のところ、音質面に関してはこだわりのユーザーとよりライトなユーザーとの二分化は進んでいるように思います。
ロスあり圧縮によるストリーミングの音楽聴き放題サービスが好調な一方で、ハイレゾ音源の売り上げもどんどん売れ行きを伸ばし楽曲数も増加し続けています。
後者はハイレゾ音源の、恐らくは音質面に価値を見いだす人が増えていることの表れだと思います。
ただ、そのプラスαにこだわらないユーザもたくさんいる、そういうことなのかもしれません。
ハイレゾ音源の音質とCDの音質
全く同じミキシング、音作りでCDとハイレゾ音源を作成した場合には、元々の音作りがキッチリと行なわれているならば、極端な音の差はなくなるかもしれません。
ただ、著者の個人的な感触で行くと、CDよりもハイレゾ音源の方が音の耳あたりが柔らかい感じがします。
ハイレゾの場合には、音量をドンと上げても耳が痛くない、うるさくない音になっている感じです。
ただ、実際には同じ楽曲でもCDとハイレゾ音源とではマスタリングが異なっているケースが多く、直接の比較は難しい場合が多いです。
このようなマスタリングの違う楽曲の場合には、だいたいはCDの音作りの方が音質面でハンデを抱えることが多いようです。
今でも残っているのかどうかは分かりませんが、「音圧競争」の悪影響ではないかと思います。
そういった楽曲では厳密にはフォーマットの違いによる音の違いではないのですが、より良い音で聴こうと思ったら、ハイレゾ音源を選ぶしかない、といった状況も存在するというのも今の状況の一つです。
まとめ
- ハイレゾ音源のデータ面での良さは近似精度の高さ
- 「解像度」で考えるならスマホの文字表示のキレイさをイメージすると分かりやすい
- ハイレゾ対応機なら音が良くなる、は、より一般ユーザーに向けたキャッチコピー
- その他の音源に比べ、プラスαのポテンシャルがあるハイレゾ
- ハイレゾの音の違いが分からない場合は、まず機材チェック
- ハイレゾ音源の音の評価は良いと違いが分からないに二分
- CDとハイレゾ、純粋に音の違いが比較できる音源が少ないのも事実
ザッとハイレゾ音源とその他の音源の音質面での比較をまとめてみるとこんな形になるでしょうか。
ハイレゾ音源が世に出てからある程度の時間がたっていますが、未だに誤解や理解が進まない部分、議論がうまくかみ合わない部分も残しているようです。
ただ、そんな中でも音源データの売れ行きを見る限り、確実にハイレゾの良さに気づく層も増えているようです。
結局の所、音楽を聴くほとんど全ての人にとって音楽を聴くという行為は単なる趣味ですから、音楽を聴くスタイルはユーザーそれぞれです。
ただ、もっといい音にこだわってみたい、そう思ったときに先に進める方向性の一つとしてハイレゾ音源がある、それは有効な選択肢の一つになってくれると思います。
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