ハイレゾ対応のノイズキャンセリングヘッドホンの状況など!
電車通勤の方など騒音のある環境で音楽を聴くことが多いユーザーの間では、ノイズキャンセリング機能付きのイヤホン、ヘッドホンの認知度が上がってきています。
ノイズキャンセリング機能つきのヘッドホンを使えば、周囲の騒音に負けないだけの音量まで音楽側のボリュームを上げる必要がなくなります。
このためイヤホン、ヘッドホンの使用で無理をすることによる難聴も起こしにくく、音楽自体も非常にクリアな状態で集中して聞くことが出来るようになります。
最近はポータブルプレーヤーの音質にもこだわるユーザーも増えていて、両方のニーズからハイレゾ対応のノイズキャンセリング機能つきのヘッドホンにも注目が集まるようになりました。
今回はノイズキャンセリング機能とハイレゾ対応の両立を図れる機種など、ハイレゾとノイズキャンセリング機能を巡るお話をまとめます。
- ハイレゾ対応+ノイズキャンセリング機能付きのヘッドホンの状況
- ワイヤレスでハイレゾ+ノイズキャンセリング対応の製品の状況
- Bluetooth接続のハイレゾ+ノイズキャンセリング対応製品はない?
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ハイレゾ対応ノイズキャンセリングヘッドホンの販売状況
現時点でヘッドホン・イヤホンのジャンルで積極的にノイズキャンセリング機能を打ち出した製品を市場投入しているのは、ソニーとボーズです
このうちソニーはハイレゾ対応にも非常に積極的なのですが、ボーズの方はそちらへの動きは今のところありません。
ボーズ製品では、これまでにハイレゾ対応のスペックを実現したヘッドホン・イヤホン製品はまだ一つもなかったと思います。
このため現在、ハイレゾ対応とノイズキャンセリング機能の両方を同時に実現した機材は、主にソニー製、ということになります。
そのほかでは、パイオニアが両対応を実現するユニークなイヤホン製品、Rayzシリーズを出しています。
iPhoneなどで使われるLightningコネクタ直結型のDAC+ヘッドホンアンプを内蔵したイヤホンで、本体のみではハイレゾ音源本来の音質の再生が出来ないiOS機器の補完をするタイプの製品になっています。
この機種のノイズキャンセリング機能は特別強力なわけではありませんが、iPhone側のアプリの機能と合わせ、イヤホンの機能を「成長させる」というコンセプトを取ったユニークな製品になっています。
ハイレゾ対応でノイズキャンセリング機能を持つワイヤレスヘッドホン
この見出しの条件はかなり微妙なところであったりします。
今のワイヤレスタイプのイヤホンというと基本全てBluetoothをインタフェースとして採用していますが、Bluetooth側の制約でBluetooth接続の状態ではハイレゾ対応を行うことができません。
この詳細は次の節でまとめますが、Bluetoothによるワイヤレス接続とハイレゾ対応の両立は今のところ不可能なのです。
と言う訳で、ワイヤレスヘッドホンでハイレゾ対応を名乗る機材は、本当にハイレゾ対応と言える状況になれるのには一つ制約条件が付いています。
本来はワイヤレスヘッドホンですが、本当のハイレゾ対応となるためには「有線での接続が必須」となってしまうのです。
ワイヤレス型のヘッドホンの良さはやはり煩わしいケースも多いケーブルから開放される部分ですから、ハイレゾ対応のためには有線接続が必須、というのは製品の性質とは矛盾しかねない部分ではあります。
ただ、そのタイプのワイヤレスヘッドホンでは、従来のBluetoothの音声コーデックよりもずっと音質が良く、ハイレゾ音源のデータをそのまま入力できるものが備わっていることが多くなっています。
ソニーが独自で提唱した「LDAC」や、クアルコムが開発した「aptX HD」などが該当します。
どちらもロスあり圧縮となるため、あくまで「ハイレゾ相当」「ハイレゾ級」といった書き方までしか出来ないものですが、音質面では従来の高音質コーデック、AACやaptXの枠を軽く超える性能を持ちます。
LDACサポートはAndroid OSの次期バージョンで標準となり、aptX HDの方はスマートフォンの心臓部であるSoCのメジャーメーカーであるクアルコムがサポートしますから、今後どちらも対応するプレイヤー側が一気に増える可能性があります。
ソニーのLDACもTEACやラディウスなど、サードパーティーが採用製品を登場させはじめていて、普及への動きが始まりだしています。
ワイヤレス「でも」利用可能でハイレゾにも対応しつつ、ノイズキャンセリング機能を搭載したヘッドホンは、ソニーからイヤホンタイプのネックバンド型「WI-1000X」やオーバヘッドタイプ「WH-1000XM2」などの製品が発売されています。
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ノイズキャンセリング機能の有無にかかわらずBlutoothでハイレゾ対応機はない
さて、前節でも触れましたがノイズキャンセリング機能以前に、実はBluetooth接続の機材で真のハイレゾ対応を名乗れるものはありません。
ソニーはワイヤレスタイプでハイレゾ対応打ち出したイヤホン・ヘッドホンを販売していますが、これらの製品がハイレゾ対応になるのは有線接続を行なったときのみです。
Bluetooth接続の状態ではソニーがキャッチコピーで使うとおり「ハイレゾ級」までの表現しか行えません。
これは、Bluetooth接続のデータ転送速度の限界から来ています。
今使われている規格では毎秒1Mbpsぐらいまでのデータ転送速度が限界で、これですと未圧縮のCDクオリティの音源データすら送ることができません。
より情報量の多いハイレゾ音源のデータはまるで無理、ということです。
このため、Bluetoothでは音のデータをMP3のような「ロスあり圧縮」を行なって伝送しています。
いくら音の良いコーデックを使っても生の原音のデータそのものを送ることができず、どこかに省かれた部分が出るため、Bluetooth接続ではハイレゾ対応を名乗らない、というのが今の考え方です。
将来的にBluetoothの規格がバージョンアップしてより高速なデータ転送が可能になれば、また状況は変わるはずですが。
まとめ
- ハイレゾ対応+ノイズキャンセリング機能を同時に実現するヘッドホンはソニーとパイオニアから
- ワイヤレス接続でハイレゾ対応+ノイズキャンセリング機能を実現する機種はない
- ノイズキャンセリング機能以前に、Bluetoothでは原理的にハイレゾ対応が無理
ハイレゾとノイズキャンセリング機能を持つヘッドホン、イヤホンの状況をまとめると以上のようになるでしょうか。
有線接続製品ならば、ハイレゾにもノイズキャンセリング機能にも積極的なソニーと、Lightningコネクタ直結型のユニークな製品を持つパイオニアブランドがあります。
現状のワイヤレスタイプのヘッドホンは基本全てBluetooth接続のものですが、Bluetooth接続では真のハイレゾ対応自体が行えません。
Bluetoothでも接続可能なヘッドホンであっても、ハイレゾ対応とするには有線接続が必須となります。
この点には注意が必要です。
『ハイレゾ音源対応ヘッドフォン・イヤフォンの価格と音質の違い』の記事はハイレゾ対応イヤホン・ヘッドホンの考え方に役立つかもしれません。こちらもよろしければどうぞ。
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