ハイレゾオーディオ機器の評価が難しく、評価が分かれやすい理由

オーディオ機器の評価が難しくてかつ、評価が分かれやすい理由

オーディオ機器の評価はプロの評価を除くと、良い評価、悪い評価がかなり分かれがちです。一般的には非常に評価の高い機器でも、Amazonのレビューではごく当たり前に悪い評価も混じります。

また、聴くことの専門家のプロの方たちの評価でも、色々と微妙に評価される方向性が異なることが多いです。

この辺りの原因となりそうなものを少し考察してみました。



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一番は「感性」が評価の基準であること

オーディオ関連の機器のレビューの内容が色々と割れる原因の第一は、評価の基準が人間の「感性」感じ方の問題である、ということだと思います。

オーディオの音の良さの程度を完全に数値化する方法が見つかって、スコアという形で表現できるようになるのならばお話は別ですが、今は、音をレビューする人が実際に音を聞いてみて「どう感じるか」が、ほぼ評価の善し悪しのすべてになっています。

善し悪しを測るための「共通の物差し」がないような状況、と言ってもいいかもしれません。

「良い音」と感じる音がそもそも違う可能性

また、音をレビューする人の「耳の鍛え具合」といいますか、どのような音をいい音と認識するかの違いの幅がおそらくは非常に大きいことも評価がばらつく原因の一つでしょう。

音の高低のバランスにしても、非常に重低音を重視する人も数多くいそうですし、ボーカルがキレイに聞こえることを大事に思う人、高域がキラキラとキレイに聞こえることを評価の基準に据える人もいるでしょう。良い音と感じる基準が人によりまさに千差万別と言っていい状況です。

プロのレビュアーではなく、ごく普通のユーザーが評価を行なう場合には、ある機器が出す音が絶対的に良いか悪いかというよりも「自分の好みの音かどうか」という部分に評価が引っ張られる、ということも評価が分かれる理由の一つでしょう。

さらに、普段聞いている音源のタイプに「耳がなじんでいる」ことも影響する可能性が高そうです。

スタジオ録音の音とライブ演奏の生音は、そもそも音のソースからして音が全く異なります。原音とCDの音は微妙に異なりますし、CDの音とMP3などの圧縮音源の音はまた違います。

生の演奏の音を一度も聞いたことがない人、普段圧縮音源の音ばかり聞いている人など、普段聴いている音楽に耳が慣れていてそちらの音を良い音と感じているならば、それとは違うタイプの音源は、絶対的に良い音だったとしてもむしろ違和感を感じるかもしれません。

こういった観点まで考えてみると、生の音、音源に入っている音に忠実な再生(≒Hi-Fi)が出来る機器こそが最もいい音、とも言えなくなる可能性がある訳で、そもそもの評価の基準をどう置くかもとても難しいことなのかもしれません。



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実は人間の耳がどう音を聞いているのかは解明し切れていない

厳密な意味での、絶対的な音の善し悪しという評価では、この部分も大きいかもしれません。

人間が音を聞いてどう感じるかは実はかなり曖昧な理解しかされていなくて、厳密にどのように人間が音を捉えて感じているのか、未解明な部分を大量に残している、と言うところもまた問題を難しくしている可能性がありそうです。

例えば非常に簡単なところでは、健康な耳が聞くことの出来る周波数の範囲は20Hz~20kHzぐらいというのが定説ですが、20kHz以上の音を本当に「感じる」ことは不可能なのか?という点は、実は色々な異論の出そうな研究・実験結果もいくつも上がってきていたりします。

20kHz以上の高い音を含む音楽とその部分をバッサリカットした音楽とで人間の脳の反応を見た実験では、20kHz以上の高い音まで含む音楽の方が脳は心地よさを感じているらしい、という実験結果が出ています。

また人間の音の感じ方では、時間軸方向の音の波形の変化には人間の聴覚はものすごく敏感らしい、との報告もあるようです。

一般には聞こえないとされるような高い音も音楽成分として混じってくるとわずかに波形は変化しますから、もしかしたらそういった部分まで人間の耳は感じているのかもしれません。

多分、1つだけの周波数の音で20kHz以上の音をポンと出されると、ほとんどすべての人はその音を感じることは出来ないと思うのですけれど、そういう単純な聞こえだけの問題ではないのでしょう。

この部分はハイレゾ音源の特徴の一つである、20kHz以上の音まで記録可能な部分の評価にも関わってきます。

最終的には自分の耳で判断するしかない、難しいジャンル

オーディオ機器の評価が難しくてかつ、評価が分かれやすい理由

色々考えてみても、やはりオーディオ関連の製品の評価を各所のレビューだけから判断するのは難しい、となってしまいますね。ただ、一つ一つのコメントだけに注目しすぎるのではなく、全体の評価の傾向を俯瞰するような形を取れば大まかな傾向を見ることは可能です。

また、雑誌の評価などではスポンサー企業との兼ね合いから色々な「大人の事情」というやつもありますので、その部分にある程度のバイアスはかかっているものと考えてレビューを読む方が良いでしょう。ただ、ある程度定評のある雑誌、Webメディアなどに載るレビュー記事でライターは基本的に嘘は書きません。ネガティブ方向の書きにくい内容が省かれる可能性は高いのですが。

加えて、色々な機材を試して自分の好みの音かどうかだけではない、比較的客観的な音の聞き方の出来るプロのライターの言葉には必ず参考になる部分があります。そういった部分を見抜く記事の読み方を身につけることで、色々な情報を上手く捕まえることが出来ます。

各所に色々な情報がありネットが広まることでより一般の人の率直な感想が伝わりやすくなっている今でも、最後の最後の判断は自分の耳で下すしかないのがオーディオ製品のいつまでも変わらない真実なのかもしれません。



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