ハイレゾ音源データの形式に新顔登場。MQAとは
ハイレゾ音源データの形式は、これまでは基本的にはPCM形式を元にしたWAVやFLAC形式、全く別の方式をとっているDSD形式などがありました。こういった中に最近また一つ、新たな形式が登場しています。
それは、「MQA(Master Quality Authenticated)」という方式です。イギリスのメリディアン・オーディオが開発したものです。
今回はこのMQAをご紹介します。
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ロスレス方式?
MQAではスタジオで録音する際のマスター音源相当の音質を保ったまま、CDのデータレートである約1.4Mbpsよりも小さなデータ量、1Mbpsまでの圧縮を可能としているとされています。
また、音楽のアナログ信号をデジタル化する際に生じがちな時間的エラーが招く「音のボケ」、リンギングを抑えて音のフォーカス感を向上させる技術が使われているそうです。
データ量圧縮のためにはロスレス方式が使われているとアナウンスされていて、MQAを取上げる各種メディアでも「ロスレス」の文字が記事に必ずうたわれる形になっています。
さらに、FLACやWAVなどのファイルの形式の中に入れ込むことが可能で、MQAに正式に対応していない環境でもCDクオリティでの再生ならば可能になる、といった特徴も備えています。
ただ、MQA本来の音質での再生を行なうには、MQAのデコードに対応したDACなどが必要になるとされています。
実際に音質は素晴らしい
実際にMQAの音源を聴いてみたレポートを見ると、MQA音源の再生のクオリティは非常に素晴らしいようです。同一のマスター音源から作った、DSD形式、FLAC形式との聞き比べでも、音質面で非常に近いクオリティを実現できているようです。
それでいながらデータのサイズはFLACなどに比べると非常に小さく、容量と音質のバランスは極めて優れた形式となっています。
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実際には
ただ、MQAの方式などの説明をよくよく見ていくと、この方式は厳密な意味での「ロスレス」圧縮を使っている訳ではなさそうです。
人間の耳に聞こえる「可聴域」の範囲の音はロスレス圧縮し、それを超えるような範囲の音に対しては非可逆の、いわゆる「ロッシー」な圧縮をかけているようです。
これらを上手く組み合わせて聴感上特に重要な領域の情報をそのまま活かしつつ、通常は原理的に圧縮がかかりにくく、比較的、聴感に直接影響を及ぼしにくい領域の音を上手く圧縮してやることで、音楽の情報量を保ちつつデータの容量を大きく圧縮することを可能にしたようです。
e-onkyoが音源データの提供を開始。対応プレイヤーも
MQA形式の音源データはe-onkyoが提供を開始しています。まだまだ楽曲数は少ないですが、結果的にデータの圧縮率が稼げてハードディスクなどの容量には優しい形式です。特に、内蔵ストレージの容量が限られるポータブルプレイヤーには非常に相性の良い方式になるはずです。
現在、オンキョーブランドで販売されているハイレゾ対応のポータブルプレイヤーDP-X1と、PIONEERブランドからの発売になるXDP-100RがMQA形式の音源データの再生に対応しています。
今までのハイレゾ音源は、音の情報量の多さがそのままファイルサイズの巨大さにもつながっています。
ハードディスクを比較的容易に追加できるパソコンならば、あまりこの部分も問題にはなりませんが、内蔵ストレージの拡張に限りのあるポータブルプレイヤーでは、MQAのような音質/データサイズの比の優れた音源データは非常に有用な手段となるはずです。
今後の普及にも注目した方が良いかもしれません。
また、オンキョー系列以外のメーカーがMQAに対してどういう動きを見せるかも、今後の普及の具合に影響を及ぼすはずです。国内では最もハイレゾに力を入れているソニーの動きなども注目されるところです。
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